ストレートの常識を変える「黒木式酸性ストレート」を完全習得し、オンラインサロンやセミナー等で酸性ストレート講師としても活躍中の「CHARLES DESSIN」のヨシダマヤさんに、X TREATMENTのメリットを最大限に生かした活用法を提案してもらう、この連載。

第3回のテーマは「ダメージヘアのレスキュー」。ブリーチと黒染めを繰り返してボロボロになった髪を、X TREATMENTの回転数を増やすことで、理想の質感に仕上げていきます。

CHARLES DESSIN | シャウルデッサン
ディレクター・マネージャー
ヨシダ マヤ さん

スタイリスト歴11年。入社後1年でシャウルデッサン店長就任。売上ゼロから1年間で技術売上200万円、単価2.5万円を超えるスタイリストへ。SNiP STYLe(2020年2月号)にて気鋭の女性デザイナーとして特集。

INSTAGRAM:@charlesdessin_maya.yoshida

ハイダメージヘアを修復するX TREATMENTの効率的な活用法

—今回、「ダメージヘアのレスキュー」をテーマに、ブリーチと黒染めを繰り返してボロボロになった髪を、ヨシダさんにX TREATMENTのみを使用して、美髪に導いていただきます。

こんにちは、ヨシダです!(今回から動画のオープニングです!)

X TREATMENTのみを使用してダメージ修復をする場合は、回転数を増やすことで質感を上げていきます。

基本的には、x01からx04をひたすら順番につけていくのですが、その中でどうやったら効率よく結果を出せるかについて解説していきたいと思います。ちなみに、今回は計7回転しています!

とにかく大事なのは、トリートメントによって変化していく髪の毛の質感を、どれだけ自分の手が感じられるか、ということです。

そして、髪に今どれくらい栄養分が入っているのか、X TREATMENTを使うことで髪にどういう作用が起きているかを理解できると、X TREATMENTの効果をより一層発揮させることができるかなと思います。

—今回、ダメージ激しめの髪にお悩みのモデルさんに来ていただいてます。7回転でどのように髪が変わっていくのか、楽しみです。

今回のモデルさんは、元々軟毛でちょっと癖毛もあり、黒染めとブリーチを繰り返しているという状態ですね。この後の動画でも説明していますが、毛先のほうにいくとガリッと引っかかる感じの手触りです。

この「髪のどの辺りにダメージがあるか」を手触りで把握しておくことが、回転数を重ねて、質感の変化を確認をする時に大事になってきます。

それでは始めていきましょう!

まず、トリートメントを塗布する前に、シャンプー後(お湯の温度は37.5度が理想です)、十分にタオルドライをして、髪の中の水分を抜いておいてください。

というのも、髪の内部に含有できる水分量は決まっているので、なるべくトリートメントの入りをよくするために、是非やっておいていただきたいです。

そして、シャンプー台についた水も拭いてからトリートメントに入るようにしましょう。水でトリートメントが薄まるのを防ぎます。

その後、X TREATMENTの01から順番に塗っていきます。

x01→x02をつけたところで泡立ってくるので、この泡を乳化するように、x03を塗布していきます。液で蓋をして押さえ込んでいくイメージです。最後にx04を塗布。

この時、x01〜x03の液がこってりとついているので塗布しにくいのですが、クリームを退けながらしっかりつけていってください。

x04を塗布後、時間は置かずに、水で浸して乳化させて流す。乳化させることで、髪に塗ったトリートメント剤のムラがなくなり均一になり、髪の毛の引っ掛かりや絡まりが解ける効果があります。

流したら、タオルドライをして1回転目が終了です。タオルドライをする際は摩擦に注意して、ゴシゴシ擦らないようにしてくださいね。

回転数を増やしていく場合、シャンプーは基本的には最終回の仕上げのみでOKです。

髪の感じや塗り方のコツは、動画で見ていただくとより分かりやすいと思います!

●1回転目・施術動画

—X TREATMENTの回転数を増やすにあたって、その回数の見極めはどういう風にされているのでしょうか?

これがすごく大切なポイントで、まず1回転目は、どれくらい質感が上がるのかの目安を知るための施術として考えてください。実際やってみると、想定していたのと髪の状態が違うことも多々あるので、1回転目はそこの見極めをする。

分かりやすいのは、乾燥してゴワッとした硬い髪になっている方ですね。その場合は髪に柔らかさが出てくるまで、というのが回転数を設定する目安になります。

今日のモデルさんの場合は逆で、柔らかくてグニャっとなってしまう髪のパターンです。恐らく、黒染めとブリーチによって髪がアルカリに振れすぎていて、グニャグニャになっているかと思われます。髪が千切れる一歩手前の状態ですね。こういう場合は、毛先にハリ、コシが出てくるまで、頑張ってトリートメントをしていくのが正解です。

見極めどころはやっていくうちに分かってくると思うので、髪がよくなるところまでトコトンやり込んでいきましょう!

—回転数を増やす上で注意すべきことはありますか?

効率を上げるためのコツという意味でいうと、トリートメント剤は希釈していない原液を使うことですね。今回使用しているのは、すべて原液です。回転数を増やす時は、希釈したものをひたすら塗るより、原液のほうが濃度が高い分、直っていくのが早いです。なので、明らかに何回転もしそうなハイダメージのお客様の場合は、原液をがっつり使って施術したほうがよいです!

そして、トリートメントの施術中に、お客様の髪の履歴を手で実際に感じることがすごく重要です。髪全体をしっかり触って、どの部分にどういうダメージがあるか、ちゃんと考えながら施術するのが大事かと思います。それを把握できれば、必要なところだけ集中的に攻めることができるので、すごく効率がいいし、時短にもなります!

—1回転目で髪の状態を把握し、回転数の目安をつけたら、2回転目の施術ではどういう所に気を付けていけばよいでしょうか?

1回転目の時の髪の状態からどれくらい手触りが変わったかを確かめながら、より念入りにケアをしていくことが大切です。

今回のモデルさんの髪だと、1回転目の後、タオルドライした髪の感じが最初より硬い感じになっています。これは恐らくx04の効果がちゃんと出てきているんだと思います。

x01→x02を塗布した時の泡立ちもアップしましたね。ダメージが進行しすぎていて泡立たない方の場合も、大体2〜3回転目で泡立つようになってきます。

また、トリートメント剤を塗る時に、襟足をよく触られる方やタートルネックを着ることが多い方だと、摩擦でネープ部分が結構傷んでいる方もいたりするので、髪を触りながら質感を確認しておきましょう。

そして、x03を塗布するタイミングで、しっかり滑らかになるまで液を塗り込みながらヘアマッサージをしてあげると、髪がゴワゴワになっている方でも、つるんとした質感になってきて、非常に効果的です。今日は2回転しかしないぞ、という方でも、2回転目でこういうヘアマッサージをしっかりやっていくとよいかと思います。

x04を塗布する時は、上から押さえ込むように手で撫でてください。この時に摩擦を起こすと髪が傷んでしまうので、ギュッと強く握るのではなく、軽く押さえるイメージで塗布していってください。特に軟毛の方は、濡らしただけでも伸びてしまう方もいるので要注意です。

X TREATMENTの回転数を増やしていくことで髪の毛の内部が丈夫になってくると、切れにくく、強い髪の毛になってくるので、それもメリットの一つかと思います。

x01〜x04まで塗布したら、乳化して流していきますが、乳化の時間は大体30秒前後くらい見てもらえればOKです。乳化しながら手触りが変わってくるので、良くなってくるのを実感できるのが理想です。

髪の感じやヘアマッサージ、塗り方のコツは、動画で見ていただくとより分かりやすいと思います!

●2回転目・施術動画

—髪の質感の具合はどうやって見極めたらよいでしょうか?

「硬くなってしまったけど大丈夫?」と思われる方も多いかと思いますが、私的には「硬くなってきた」というのは、いい感じに質感が上がってきているイメージで、最初は硬くすらなってこない方も多いので、ここまで上がってくると、良い仕上がりが近づいてきている兆しです!

もし、回転の途中で髪の状態が分からなくなってしまった時は、一度シャンプーを入れるといいと思います。乳化して流した後にシャンプーをして、表面についている要らないものを落としてあげることで、髪の毛の素の質感が見えてきます。

—3回転目に入る際には、どういう点に気をつけて施術をしたらよいでしょうか?

回転数を増やして質感を上げていく時、キモになるのが1・2回転目です。というのは、この時点でまだ髪はスカスカな状態なので、これでもか、というくらいしっかりやってあげるとギュッと入ってくれるんです。

なので、2回転目まで終わると髪にハリが出て、結構しっかりした質感になってきます。(X TREATMENT 04はPHが低く、量を多くつけることでシャキンとしたと硬さが出るので、その効果も出ていると思われます)。

なので、3回転目からは、ダメージがより激しい箇所に重点を絞ってトリートメントをしていきたいと思います。今回のモデルさんの場合、毎日アイロンを使用しているせいだと思いますが、トップ部分ともみあげ辺りにもダメージがあるので、そこは引き続ききっちりやっていきます。

もし、髪の毛に引っかかりや絡まりがあって施術がやりにくい場合は、x03をたっぷりつけて、しっかり乳化してあげると絡まりが解けます。

ロングヘアのお客様の場合、シャンプーボウルに髪がついてしまいますが、シャンプーボウルの蓋をして、そこに髪につけたトリートメント剤を貯めておくと、貯まった分が毛先は浸かっていることになるので、勝手に乳化されているような状態が作ることができます。

あとは、流す時に摩擦される方もいますが、せっかく直した髪に自らダメージを加えてしまうことになるので、水圧だけで流すようにして、なるべくこの綺麗な状態をキープしましょう。全回転終わって、仕上げの段階ではしっかり流してあげたほうがよいですが、それ以外はざっくり流すくらいで大丈夫です。

髪の感じや塗り方のコツは、動画で見ていただくとより分かりやすいと思います!

●3回転目・施術動画

3回転目が終わって、髪にちょっとしっかり感が出てきました。これは綺麗になりそうな予感がします!

—4回転目の施術のポイントはありますか?

4回転目以降は割とざっくりでよいので、気になる箇所を中心にトリートメント剤を塗布していきます。私の経験上、髪の毛のダメージ具合がひどくない場合、2回転したら大体良くなります。

ハイダメージの髪の場合は3回転目から徐々に上がってくる感じがします。3回転くらいで質感が上がってきた方は、5回転すると「来た!」という手応えが感じられるようになります。今回も5回転目が終わったところで、そんな気配がしています!

—終盤戦に差し掛かってきましたね! 5回転目が終わった時点で、髪の質感はどのように変わってきますか?

・指通りが良くなる
・泡立ちが良くなる
・流した時の毛流れが綺麗
・ウェットな状態でもしなやかな感じが出ている
・毛先を触った時にしっかりとした「髪の毛」の感じがある

といったことが、質感が上がってきているバロメーターになります。動画で見ていただくとより分かりやすいかと思います!

●6回転目・施術動画

あとは、一番ダメージが酷かった所がどうなったかを確認しながら、ダメ押しの7回転目の施術をやっていきましょう!

これで最後なので、x01〜x04を塗布→乳化して流した後は、X TREATMENTのシャンプーとコンディショナーで仕上げていきます。

コンディショナーを洗い流す時点で、明らかにツルツルです。コーミングしても引っからないのがわかる状態ですね。最初グニャグニャだった毛先もしっかり立ってくれてます。

こちらも動画で見ていただくとより分かりやすいかと思います!

●7回転目・施術動画

それではこの状態でタオルドライして乾かしていきます。

乾かしただけで、毛先までツヤを反射しているのがわかるようになりました!

●ブロー中・施術動画

—7回転目はダメ押しということですが、何か心掛けることはありますか?

7回転目だからということでもないのですが、いつも心掛けていることがあって。

トリートメントをする時に、頭の中で、髪の毛のイメージ図を想像しながらトリートメントをするんです。最初の段階では、スカスカになっている髪の毛があって、それぞれの毛髪にはダメージがグラデーションのようになっている図をイメージしてます。

そこにX TREATMENTが入ってきて、回転数を増やすごとに、スカスカの毛髪内部にタンパク質や間充物質がパンパンに詰め込まれていっている様子や、「髪のこの辺に栄養分が留まってきているぞ」といったような想像をしています。

お客様の髪の毛を触る際に、そういうイメージを思い描いたほうが自分の中で理解しやすくて。トリートメントを塗布する際の手の動かし方も、そういったイメージに基づいた動きをしたりします。

更に言うと、これはトリートメントの時に限らず、どんな施術をしている時でも同じで、ストレートの薬剤を塗り分けている時、ブリーチしている時、ハイライトしている時、常にそういうイメージを頭の中で常にするようにしてます。

そうすることで、気をつけるべきポイントや髪の毛の状態だったり、X TREATMENTの回転数をさらに増やすべきか否か、といったこともイメージがつきやすくなりますよ。

私と同じような想像ができない方でも、その人なりのイメージしやすい何かというのがあると思うので、それを頭の中で常に考えながらやっていかれるといいかなと思います!

—髪の状態を常に頭にイメージした上で、より効果を高める方法を考えながら施術することが、X TREATMENTの効率的な活用に繋がっていくんですね。

そうですね! 何も考えずに、ただ「回転数を増やしたらいいんでしょ」という感じでやっていると、「あれ?これだけやったのにあんまり効果が出てないぞ」ということが起こってしまいます。

触覚と視覚を研ぎ澄ませながら、必要な箇所にトリートメントの施術をしていく。そして、どういう風に手を動かしたらいいか、ということを考えているからこそ、効果が出てくるのが早いのだと思います。

回転数を上げれば質感が良くなるのは当然なんですけど、シンプルに「どれだけ効果を発揮できるか」を考えて実践できる人のほうが、トリートメントが上手な人なのかなと思います。

—それでは最後に、今回の仕上がりを見せていただきたいと思います!

施術前に比べると、頭がかなり小さくなった印象です。また、モデルさん自身もかなり驚かれていましたが、毛先の引っかかりが解消し、指通りが抜群に良くなりました!

髪の艶感としなやかな質感がより伝わりやすい「#艶のばいんばいん」動画も、あわせてご覧ください!